Java はじめて31 〜JUnitでのテスト駆動型開発8: 処理をつなげたテスト〜

イントロダクション

今まではユニットテスト(単体テスト)をやっていましたが、複数のクラスを実行するテストケースも作成することができます。
プログラム的には、実行するプログラムを増やすだけですが。。。

イメージとしては、メインメソッドを動かすテストを実行するようなイメージです。
そうすれば、メインメソッドを動かした方が早いような気がしますが、大掛かりなアプリケーションの場合は、そうもいきません。

なので、「足し算をする処理のテスト」「ファイルを読み込むテスト」とテストを行った後に、口座に入金するテストをするというような形です。

今回のような小さなプログラムでは、あまり意味がありませんが。。。

今回は、今まで作成した1処理を「機能」として動かせることを確認するテストケースを作成します。
通常のやり方では、1.実装、2.テストと分けた場合の「2.テスト」にあたります。

機能テスト

仕様は以下の通りです。

仕様
1. ファイルを操作するためのオブジェクトを作成する
2. ファイルにデータをCSV形式で書き出す。
3. ファイルが存在するのであれば、それを読み込みデータを保持する

今までの実装、テストで行くと「3」が実装したものに相当します。なので、これをテストケースで確認する様にします。
現状では、スタブのままなので未実装になっています。
なのでテストケースを先に作成します。
ちなみに、最終的なコードはGithubにあります。

  1. KozaManager.java
  2. KozaManagerTest.java
@Test
public void testFileRead() {
    if (target.isFile() == false) {
        fail("ファイルが存在していません");
    }
    List<Data> dataList = target.readFile();
    // データは1件
    assertEquals(1, dataList.size());
    // ファイルにあるデータ
    Data data = dataList.get(0);
    assertEquals("test", data.getName());
    assertEquals("passwd", data.getPassword());
}

とりあえずで、上の様に作成しました。初めにファイルの存在チェック処理を確認して、ファイルが存在しないならテスト失敗。
次にファイルの読み込みを行い、そのデータを取得しデータが想定通りのものが入っているか確認します。

余談

テストを複数回行っていたので「koza.csv」にデータが複数作成されていました。ヘッダー付きなのでこれはダメなテストになってしまうので、ちょっと修正します。
<修正1>
「ファイルが存在するときにはファイル作成をしない」が抜けていたのでこれを追加します。

// ファイルそ新規で作成するとき
if (file.exists() == false) {
    // ヘッダー部分の出力
    build.append(this.createCSVHeader());
    // ファイル書き込み処理
    write.write(build.toString());
    write.newLine();
}

そして、修正後のメソッドは以下の様になります。

public void dataOutput(Data data) throws IOException {
    if (file.canWrite() == false) {
        throw new IOException("ファイルの書き込みができません: " + file.getAbsolutePath());
    }
    // おおよそのデータサイズを指定すると余計なメモリを使用しなくて済む
    StringBuilder build = new StringBuilder(50);
    // ファイルを新規で作成するとき
    if (file.exists() == false) {
        // ヘッダー部分の出力
        build.append(this.createCSVHeader());
        // ファイル書き込み処理
        write.write(build.toString());
        write.newLine();
    }
    // StringBuilderのクリア
    build.setLength(0);
    // データ部分の書き込み
    build.append(data.getName() + ",");
    build.append(data.getPassword());
    write.write(build.toString());
    write.newLine();
    write.close();
}

これで、ファイルが存在しているのに新たにファイルを作成することがなくなります。

しかし、テストはうまくいきませんでした。
これの原因は、テストケースにありました。

@Test
public void testFileRead() {
    if (target.isFile() == false) {
        fail("ファイルが存在していません");
    }
    List<Data> dataList = target.readFile();
    // データは1件
    assertEquals(1, dataList.size());
    // ファイルにあるデータ
    Data data = dataList.get(0);
    assertEquals("test", data.getName());
    assertEquals("passwd", data.getPassword());
}

取得したデータのサイズ(ファイルの行数)は1の想定ですが、テストを実行するたびにデータが追加されるので、テストが毎回同じ結果になりません。

これは良くない

なので、ここもちょっと修正します。

// データは0件ではない
assertNotEquals(0, dataList.size());

こんな感じで修正しました。そして、複数件あっても作成されるデータは同じなので初めの一件目が想定通りの値かどうか確認します。ここでちょっと注意「初めの1行目はヘッダー行なのでデータ部ではないですが、取得したときはリストの1番目に設定されています。なので以下の様に修正します。

public void testFileRead() {
    if (target.isFile() == false) {
        fail("ファイルが存在していません");
    }
    List<Data> dataList = target.readFile();
    // データは0件ではない
    assertNotEquals(0, dataList.size());
    // ファイルにあるデータは2行目から
    Data data = dataList.get(1);
    assertEquals("test", data.getName());
    assertEquals("passwd", data.getPassword());
}

こんな感じでファイル読み込みの一連の機能をテストしました。これと同様に、他ものもテストしました。わかりづらいですが、上のキャプチャにテストケースが、4つあります。
ファイル作成、ファイル存在チェックの処理の他は読み込みと書き込みをテストしています。

ちょっと締まりが悪いですが。今回はこれまでにします。

ここまでで31回分の学習を行いました。ここまで来たら(もしかすると途中で。。。)自分で考えて学習を進めることができるレベルまで来ているのではないでしょうか?「いや?」という声がないと良いのですが、「物事を伝えるのは至難」とも言います。また別な角度で同じことを記述したいと思います。
Jaba Basic Lv1」と称して再度記載しました。こちらも併せてご利用ください。

でわでわ。。。

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Java はじめて30 〜JUnitでのテスト駆動型開発7: テストクラスの実装方法〜

イントロダクション

前回までは、部分的にテストケースなどを作成してきましたが、テストケースの作成をするために必要なこと〜実装までを記載したいと思います。

今回は、まとめ的に、JUnitでの実装をやります。今までは、コードを書き終わったものを記載していましたが、今回はコードを書きながら記載していこうと思います。自分のやり方になりますが。。。

テストクラスの実装方法

仕様確認1

  1. koza.csvファイルが存在するときはファイルを読み取り、それをDataクラスに設定し、リストにして返す
  2. koza.csvがない場合は、システムエラーを出す

上の仕様を満たす様に、テストケースを考えます。シンプルなもので、単純に実装すれば良さそうです。
「〜そうです。」と記載したのは、実装などはやってみないとわからないこともあるのでこの様に記載しました。早速作ってみます。

テストケースを作る

まずは、単純にテストクラスを作成します。このクラス名は「テスト対象クラスの名前+Test」という形で作成します。
テストクラスと実装するクラスのセットが、そうするとわかりやすいからです。すでに実装していますが「初めから作る」という前提で記載します。

※ 「スタブ」というのは空実装、つまりメソッドの名前、引数、返り値を書いているけど中身のない状態です。
```java
/** スタブ実装 */
public void stubMethod() {
}
```

作成するクラス
KozaManager(実装クラス)
KozaManagerTest(テストクラス)

<実装クラス>

public class KozaManager {

    public Listl<Data> fileRead() {
        // 実装前なのでスタブにします。
    }

} 

<テストクラス>

public class KozaManagerTest {
    @Test
    public void testFileRead() {
        // これもスタブ
    }
}

現状は、上記の様な状態です。
そして、考えます。何を?。。。仕様の1番目「koza.csvファイルが存在するときはファイルを読み取り、それをDataクラスに設定し、リストにして返す」にはどの様なテストが必要か?を考えます。単純に考えるならば以下の様になります。

  1. ファイルの存在を確認する処理が想定通りに動くか?
  2. ファイルが存在するならば、それを読み込みデータリストを返却するか?

そして、もう1つの仕様「koza.csvがない場合は、システムエラーを出す」に関しては

  1. ファイルが存在しないときはシステムエラーを出し、アプリケーションを終了するか?

それぞれ、上の様なチェック(テスト)を行います。ぶっちゃけて、まずはこの単純な確認を行ってから次に「穴はないか?」を考えれば良いと思います。

なのでシンプルにその様なテストケースを作成します。
まずは、「ファイルの存在を確認する処理が想定通りに動くか?」これを確認するために実装クラスとテストクラスの両方を修正します。着手するのは1つずつなので安心ください。
ますは、テストケース(テストクラス)
<テストクラス>

public class KozaManagerTest {
    @Test
    public void testIsFile() {
        // ファイルの存在チェック処理の確認
    }
    // 今はテストしないのでコメントアウト
    // @Test
    public void testFileRead() {
        // これもスタブ
    }
}

とりあえずは、ファイルの存在チェック処理を動かすためのテストケース(メソッド)を作成しました。
ここで、足りないものがあります。

  1. テスト対象クラス(実装するクラス)
  2. ファイル存在チェック処理メソッド

通常の開発だと、これらを実装してからテストしますが。先に箱(スタブ)だけ作ってしまいます。
<実装クラス>

public class KozaManager {
    public boolean isFile() {
        // とりあえずスタブです。ファイルが存在していることを確認する
    }
    public Listl<Data> fileRead() {
        // 実装前なのでスタブにします。ファイルを読み込めることを確認する
    }

} 

そして、ちょっと考えてみると「ファイルの存在チェック処理を行うのに、ファイル名が必要だな。。。」と気がつくと思います。

ここが悩みどころ

ファイル名を(引数で)渡す処理方法と、ファイル名を固定して渡す方法のどちらもできるので「どちらの手段が汎用性、保守性共に高いだろうか?」と悩んでみます。
自分の結論は「引数でファイル名を渡す」方が良いと思ったのですが、すでに実装ているコードではコンストラクタでCSVファイルを読み込んでいるので今回は、引数なしでのメソッドにします。つまり、処理の順序的にCSVファイルを読み込んでから呼び出す処理になっているという意味です。コンストラクタの実装は下のように作っています。※設計的にビミョウな感じがします。。。
```java
public class KozaManager {
/** ファイルへの書き出しクラス */
private BufferedWriter write;
/** ファイルの読み込みクラス */
private BufferedReader read;
/** 取得(作成)するファイルクラス */
private File file;

/** コンストラクタ */
public KozaManager() {
// 操作するファイルを指定する
file = new File(FILE_PATH);
try {
write = new BufferedWriter(new FileWriter(file, true));
if (file.exists()) {
read = new BufferedReader(new FileReader(file));
}
} catch (IOException ie) {
ie.printStackTrace();
System.out.println("ファイルオープンに失敗しました。" + ie.getMessage());
System.exit(-1);
}
}
}
```

なので以下の様なコードになります。
<実装クラス>

public class KozaManager {
    /** 作成するファイルが存在するかチェック */
    public boolean isFile() {
        // fileはフィールド変数
        return file.exists();
    }
    public Listl<Data> fileRead() {
        // 実装前なのでスタブにします。
    }
} 

<テストクラス>
テストの実行前に、テスト対象クラスのインスタンスを作成(newする)し、フィールド変数にセットします。
つまり、以下の順序で処理が走ります。

1. 「\@Before」アノテーションのついているメソッド
2. 「\@Test」アノテーションのついているメソッド

テストケースの数だけ「\@Before」が動きます。

public class KozaManagerTest {
    @Before
    public void initTest() {
        target = new KozaManager();
    }

    @Test
    public void testIsFile() {
        // コンストラクタでファイルが作成されることに注意
        assertTrue(target.isFile("koa.csv"));
    }

    // 今はテストしないのでコメントアウト
    // @Test
    public void testFileRead() {
        // これもスタブ
    }
}

実行結果は下にあります。

まとめ

「テストケースを作る=実装を行う」順序

1.作成するプログラムの仕様を確認する

  1. 仕様を満たすテストケースを考える
  2. 考えたテストケースを実装する(スタブ)※テストする内容をコメントしておくと良い
  3. 実行するクラス(KozaManager)を実装する
  4. テストケースを実行(KozaManagerTest)して、処理が正しいことを確認

クラス、メソッドの依存度が高いと右を修正した後に左を修正。。。と無限ループすることがあるのでそれぞれの処理が(なるべく)独立するように作りましょう。

でわでわ。。。

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Java はじめて29 〜JUnitでのテスト駆動型開発6: ファイル読み込みのテスト〜

イントロダクション

前回は、ファイルの出力を実装しました。
もちろんテストケースありきの実装です(テスト駆動開発)。ここまでくると、だんだんと実装とテストと慣れてくると思います。
横っ飛びして、別なプログラムを作成し始めてみるのも1つです。

わからなくなったら、また調べれば良いのです。

今回は、今迄作成した「ファイル存在チェック」と「ファイル作成、更新」処理を繋げてテストします。

この段階で、ようやくテストらしいテストになります。ちなみにこのテストケースも実装前に作成出来ますが、小さなレベルで、テスト仕様を考える→実装→テスト実施…とやった方が早い気がします。

口座作成処理

ようやく、仕様レベルの話に戻って来ました。このテストケースはコーダー銀行に口座を開設する処理に当たりますので、実際に動かす時と同じような入力(テストなのでデータ)を渡して実行します。テストコードは下のようになります。

このテストケースが通ったらとりあえずは、製造完了です。お疲れ様でした。

ひと段落したので、一旦休むも良し、このまま突走るのも良し。

他の事に着手してみるも良し!

動く事が大事

何が言いたいかと言うと、プログラムは何かを作る、仕組みを作るなどに使用する。若しくは単純に触りたいだけ…など色々あると思いますが、ちゃんと動くモノを作った方が、実力もつくし、作ったもので遊べるし、良い事ずくめだと思うので、色々と作ってみるのが良いと思います。

今迄やって来ているのは、サンプルなので…主な目的は「Javaの学習」になっています、あまり作りたいものには届かないと思います。しかし、基礎を学べる様になっているのと、コンソールアプリなので応用はいくらでも出来ます。早い話が、コンソールアプリが作れれば、あとは環境が違うだけなので大まかな流れは理解できるずです。。。

続き

前置きは、このくらいにして、続きをやります。

早い話が、今迄作成したメソッドを続けて呼び出し、それらが想定通りに動くか?の確認を行います。

作成したメソッドは以下のものです。

そして、上のメソッドを結合してやる場合のテストケースから考えます。

データの読み込み

仕様

  • ファイル存在チェックを行いファイルが存在すれば読み込む
  • 存在しなければファイル作成を行う

仕様に関してはこの部分のみをみていましたが、ファイルの読み込みをした後に、データが入っているはずなので、これを取得する必要があります。

この部分は実装していないので、実装が必要です。とりあえずは、目の前のテストを片付けてしまいます。テストコードは下の様になりました。テストを実施しながら実装するので手直しをするからこうなりました。と言う表現を使いました。

テストが通ったので、次の事を考えます。つまり、ここまでは想定通りに行ったという事です。

データの取得

次は、読み込んだファイルのデータをクラスに設定してやる事を考えます。

ファイルに保存してあるデータを読み込んで、プログラムで使いやすい様にデータクラスを使ってデータを保持します。「保持」と言うのは、プログラムが止まると消えてしまう情報なので「保持」と言う言葉を使いました。

ちなみに、ファイルに保存すれば、プログラムが止まっても情報は残しておけます。

現状では、Dataクラスを使用してファイルにデータを書き込んでいます。
ちなみにデータクラスは下の様なコードになります。

<補足>
データクラスとは:クラスにフィールド変数、ほかはGetter,Setterが定義してあるだけのクラスのことです。
わりかし身近なものとしては、ログインするときのユーザー情報クラスがこれに当たります。設計思想によりユーザー情報クラスに何かしらの処理を持たせることがあるかもしれませんが、筆者が作るのであれば、ユーザークラスの親(スーパー)クラスに持たせます。

はっきり言って、設計思想のレベルなのでどちらが良いとかっていう話ではありません。。。

public class Data {
    /** ユーザー名 */
    private String name;
    /** パスワード */
    private String password;

    /** 
     * コンストラクタ。口座情報を保持するクラスのインスタンスを生成。
     * 
     * @param name 口座のユーザー名
     * @param password 口座のパスワード
     */
    public Data(String name, String password) {
        this.name = name;
        this.password = password;
    }
    /**
     * @return the name
     */
    public String getName() {
        return name;
    }
    /**
     * @param name the name to set
     */
    public void setName(String name) {
        this.name = name;
    }
    /**
     * @return the password
     */
    public String getPassword() {
        return password;
    }
    /**
     * @param password the password to set
     */
    public void setPassword(String password) {
        this.password = password;
    }
}

読み込み時にもこのクラスが使えます。
まとめると以下の様な手順でファイルを読み込みます。

  1. ファイルを開く(コンストラクタで実装ぞ済み)
  2. ファイルを1行ずつ読み込みDataクラスへ設定
  3. データクラスをリストにして返却する

以上の様な手順でファイルからデータを取得します。
そして、これをテストケースにします。

テスト仕様

上の手順そのままですがこれを確認するためのテストケースを作成します。そしてこれもとりあえずは「スタブメソッド」を作成します。

/**
 * ファイルを読み込みデータをリストにして返却する
 * @return List<Data> CSVファイルのデータリスト
 */
public List<Data> readFile() {
    return null;
}

このメソッドはJavaDocコメントにある様に、リストにしてデータを返しますので、java.util.Listインターフェースを使用してデータを返却します。
Listインターフェースの配列型リスト=ArrayListクラスを生成してデータをセットする様に実装します。コードは以下の様になります。

public void testFileRead() {
    List<Data> dataList = target.readFile();
    // データは1件
    assertEquals(1, dataList.size());
    // ファイルにあるデータ
    Data data = dataList.get(0);
    assertEquals("test", data.getName());
    assertEquals("passwd", data.getPassword());
}

このテストケースを実行しエラーが出ない様なコードを作成します。一応、CSVファイルはファイル作成時に出力したデータが設定されていることを確認しています。

まとめ

テストケースを作成して実行。。。これに関してどんなことをやったのか?に関して記載しました。
「データクラス」というのが新しい単語として出てきましたが、上記の通り「フィールド変数、Getter,Setterのみのクラス」というだけです。

でわでわ。。。

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<Java関連の動画リスト>

<JUnit関連の動画リスト>

Java はじめて28 〜JUnitでのテスト駆動型開発5: ファイル出力の実装〜

イントロダクション
前回は実装するべきクラスの実装を行いました。しかし、ファイル入出力の部分は手付かずだったので、その部分を実装しようと思います。

<JUNITの使い方>


今回は、ファイル出力処理を実装します。つまりテストケースの作成と実行を行います。記事の下に動画があるので、参考にどうぞ、

ファイル出力の実装

ファイル出力と言っても、ファイルの作成自体はすでに実装済みなのでデータをファイルに書き込む処理の実装ということになります。
<前回までにできていること>

  1. ファイル作成(koza.csv)
  2. ファイルの存在チェック(KozaManager#isFile)

補足として、ファイルの作成 => new File()ファイルへの書き込み => Writer.write()

ここまでが実装したものになります。ちなみにテストコードは下の様になります。

public class KozaManagerTest {
    /** テスト対象クラス */
    private KozaManager target;
    /**
    *  テストの初期化
    *  各テスト実行前に起動する
    */
    @Before
    public void initClass() {
        target = new KozaManager();
    }

    /**
     * テスト対象クラスのメモリ開放
     */
    @After
    public void terminate() {
        target.finalize();
    }
    /**
    * コンストラクタが起動したかどうかを確認する
    * テストケース
    */
    @Test
    public void testIsInstance() {
        assertNotNull(target);
    }
    /**
    * ファイルの存在チェック処理の確認
    */
    @Test
    public void testIsFile() {
        assertTrue(target.isFile());
    }
    /**
    * ファイルにデータを出力し保存するテストケースです。
    */
    public void testFileCeate() {
        Data data = new Data("名前", "パスワード");
        try {
            target.dataOutput(data);
        } catch(IOException ie) {
            ie.printStackTrace();
            fail();
        }
    }
}

ここでの注意点は、「@Test」のついていないテストケース(メソッド)がファイル出力のテストケースになります。
なので、今回はこのコードを実行しようと思います。
早速「@Test」を上のテストケースにつけます。

/**
* ファイルにデータを出力し保存するテストケースです。
*/
@Test
public void testFileCeate() {
    Data data = new Data("名前", "パスワード");
    try {
        target.dataOutput(data);
    } catch(IOException ie) {
        ie.printStackTrace();
        fail();
    }
}

想定通りにいかない原因

製造中につきものの「動かない。。。」にあたります。
本当であれば、テストコードの中でファイルの中身を確認するのですが、ファイル出力後のテストケースも考えていないので、とりあえず。。。と言ったところです。
さて、想定通りにいかない原因を考えます。というか探します。本体のコードを見直してみると。。。

public void dataOutput(Data data) throws IOException {
    // おおよそのデータサイズを指定すると余計なメモリを使用しなくて済む
    StringBuilder build = new StringBuilder(50);
    // ヘッダー部分の出力
    build.append(this.createCSVHeader());
    // ファイル出力処理
    write.append(build.toString());
    // StringBuilderのクリア
    build.setLength(0);
    // データ部分の出力
    build.append(data.getName() + ",");
    build.append(data.getPassword());
}

「あー、これはファイルの中身がなくて当然だなぁ」と気がつきます(笑)
上のコードでは、出力用文字列作成用のオブエジェクト(StringBuilder)を作成しているだけです。下のようにStringBuilderに文字列を追加しないと出力するべきデータがない状態になります。

build.append(data.getName() + ",");
build.append(data.getPassword());

なので修正します。

public void dataOutput(Data data) throws IOException {
    // おおよそのデータサイズを指定すると余計なメモリを使用しなくて済む
    StringBuilder build = new StringBuilder(50);
    // ヘッダー部分の出力
    build.append(this.createCSVHeader());
    // ファイル書き込み処理
    write.write(build.toString());
    // StringBuilderのクリア
    build.setLength(0);
    // データ部分の書き込み
    build.append(data.getName() + ",");
    build.append(data.getPassword());
    write.write(build.toString());
}

そして、ファイルに出力したらファイルの入出力で使用しているReaderとWriter、そのほかのフィールド変数の後始末をする必要があります。でないとメモリ上にインスタンスが残ってしまいます。Javaの場合はガベージコレクションで最終的にメモリは解放されますが、ここでは明示的に「KozaManger」クラスのインスタンスが解放されるときに各フィールドの解放を行います。(デストラクタに実装)※finalize()を呼び出しましょう。

/** デストラクタ */
@Override
protected void finalize() throws Throwable {
    // フィールド変数の後始末
    file = null;
    read.close();
    write.close();
    write = null;
    read = null;
}

それでは、改めてテストを実行してみます。しかし想定通りに行きませんでした。。。
ファイルは出力しているのですが、肝心の中身が出力されていない状態でした。
原因としては「ファイルを閉じていない」と「ファイルを開くときに追記モードで開いていない」ことでした。
そして、最終的には以下の様なコードになりました。

public void dataOutput(Data data) throws IOException {
    if (file.canWrite() == false) {
        throw new IOException("ファイルの書き込みができません: " + file.getAbsolutePath());
    }
    // おおよそのデータサイズを指定すると余計なメモリを使用しなくて済む
    StringBuilder build = new StringBuilder(50);
    // ヘッダー部分の出力
    build.append(this.createCSVHeader());
    // ファイル書き込み処理
    write.write(build.toString());
    write.newLine();
    // StringBuilderのクリア
    build.setLength(0);
    // データ部分の書き込み
    build.append(data.getName() + ",");
    build.append(data.getPassword());
    write.write(build.toString());
    write.newLine();
    write.close();
}

というわけで、テストをしながら実装するのでやりやすい(色々と試しやすい)実装方法だと思います。
ちなみにテストケースは、色々と試したので少々変わっています。

@Test
public void testFileCeate() {
    Data data = new Data("test", "passwd");
    try {
        target.dataOutput(data);
    } catch(IOException ie) {
        ie.printStackTrace();
        fail("ファイル入出力に問題があります。");
    } catch(Exception e) {
        e.printStackTrace();
        fail("想定外のエラーが起きました。");
    }
}

そして、本体のクラス(メソッド)も同様に修正が入っております。最終的に以下の様な実装になりました。

public void dataOutput(Data data) throws IOException {
    if (file.canWrite() == false) {
        throw new IOException("ファイルの書き込みができません: " + file.getAbsolutePath());
    }
    // おおよそのデータサイズを指定すると余計なメモリを使用しなくて済む
    StringBuilder build = new StringBuilder(50);
    // ヘッダー部分の出力
    build.append(this.createCSVHeader());
    // ファイル書き込み処理
    write.write(build.toString());
    write.newLine();
    // StringBuilderのクリア
    build.setLength(0);
    // データ部分の書き込み
    build.append(data.getName() + ",");
    build.append(data.getPassword());
    write.write(build.toString());
    write.newLine();
    write.close();
}

後、ファイルを開くときに追加書き込みモードで開く必要があるので。。。(今回の実装ではデータの保存を行うのでフィールドで保持する必要があるため)コンストラクタの修正も行いました。

// 修正前のコード
write = new BufferedWriter(new FileWriter(file));
// 修正後のコード
write = new BufferedWriter(new FileWriter(file, true));

実行結果は以下の通りです。

次回は、各処理を(ファイル存在チェック〜ファイル出力)テストします。最終的な確認のコードです。

でわでわ。。。

<<< 前回 次回 >>>

<Java関連の動画リスト>

<JUnit関連の動画リスト>



Java はじめて27 〜JUnitでのテスト駆動型開発4: 追加修正と実装〜

イントロダクション

前回までは、テストケースの作成に注力していましたが。今回は、プログラムを動かすためのクラス、実装の部分に入ろうと思います。
ここでは、イメージ的に、テストと実装を同時にやるようなイメージです。

実装

今回は、前回同様に「JUnitでのテストケースから、テストをクリアできる様に実態クラスを作成します。」が最終的にファイルを出力する前に、出力したファイルの存在チェック処理を作る必要があるので、そちらの処理(テストケース)を先に作成します。

追加修正

前回までに作成したものをまとめると以下の様になります。
<口座管理処理の要件>

  1. ファイルを操作するためのオブジェクトを作成する
  2. ファイルにデータをCSV形式で書き出す。
  3. ファイルが存在するのであれば、それを読み込みデータを保持する

<実装済み>
1のオブジェクト作成のみ

<テストケース>
ファイル出力のテストケースとKozaManagerクラス(本体)の実装時に、以下の不足する実装(処理)があることに気がつく

  1. 出力するCSVのヘッダー部分の作成処理
  2. デストラクタ
  3. 作成したファイルの存在確認
  4. ファイルの内容確認

上記の様なことが抜けていたので、作成するテストケースも作成順序が変わってきてしまいました。元の設計に抜けがあった様です。つまり、以下の様な順序で作成することになります。

  1. ファイルの存在チェック処理
  2. ファイルにCSVデータを出力する処理
  3. ファイルの内容確認処理
  4. ファイル出力の処理(上の1-3を全て通して行う確認)

余談ですが、テストケースを作成することで「不足ケース」を見つけることができます。当然不足があれば、テストは想定通りには動きません、プログラムですから「気を利かして。。。」なんてことはやってくれません(笑)

ファイル存在チェック

はっきり言って1行で終わります。
コンストラクタで参照(作成)するファイルオブジェクトは作成しているのでそれを使用します。
なので、もともと下の様なコンストラクタを使っていましたが、修正します。
<元のコード>

public class KozaManager {
    /** ファイルへの書き出しクラス */
    private BufferedWriter write;
    /** ファイルの読み込みクラス */
    private BufferedReader read;

    /** コンストラクタ */
    public KozaManager() {
        // 操作するファイルを指定する
        File file = new File("resources/koza.csv");
        try {
            write = new BufferedWriter(new FileWriter(file));
            if (file.exists()) {
                read = new BufferedReader(new FileReader(file));
            }
        } catch (IOException ie) {
            ie.printStackTrace();
            System.out.println("ファイルオープンに失敗しました。" + ie.getMessage());
            System.exit(-1);
        }
    }

    /** デストラクタ */
    @Override
    protected void finalize() throws Throwable {
        write = null;
        read = null;
    }

    /**
     * データクラスを受け取り、CSVファイルを出力する(書き出しを行う)
     * @param data コーダー銀行のユーザー情報
     */
    public void dataOutput(Data data) {
    }
}

<修正後のコード>
・フィールドを追加します。
・コンストラクタの「file」をフィールド変数のFIleオブジェクトに変更します。

public KozaManager() {
    // 操作するファイルを指定する
    file = new File(FILE_PATH);
    try {
        write = new BufferedWriter(new FileWriter(file));
        if (file.exists()) {
            read = new BufferedReader(new FileReader(file));
        }
    } catch (IOException ie) {
        ie.printStackTrace();
        System.out.println("ファイルオープンに失敗しました。" + ie.getMessage());
        System.exit(-1);
    }
}

本来であれば、ファイルの作成はプログラムからやるのですが、順番的にファイルの存在チェックを先にやるので手で作成します。
以下の様なファイルです。

名前, パスワード
テスト太郎, 1234
テスト花子, 2345
テストたくのじ, 3456

これを「koza.csv」と名前をつけてEclipseのresourcesフォルダの直下に配置(作成)します。。。
が、以前起動したテスト(コンストラクタのテスト)の実行時にファイルが作成されていたので(ファイルの中身は空)、テストを起動した時点でファイルが存在することになります。
なので、テストケースとしては以下の様なものになります。

public void testIsFile() {
    assertTrue(target.isFile());
}

これも1行で終わりました(笑)

しかし、これでテストを実行しても上のコードはテストとして実行されません、なぜなら「@Test」がついていないからです。
なので以下の様にテストクラスを修正します。

public class KozaManagerTest {
    /** テスト対象クラス */
    private KozaManager target;

    /**
     *  テストの初期化 
     *  各テスト実行前に起動する
     */
    @Before
    public void initClass() {
        target = new KozaManager();
    }

    /**
     *  テストの後始末 
     *  各テスト実行前に起動する
     */
    @After
    public void terminate() {
        target.finalize();
    }

    /**
     * コンストラクタが起動したかどうかを確認する
     * テストケース
     */
    @Test
    public void testIsInstance() {
        assertNotNull(target);
    }

    /**
     * ファイルの存在チェック処理の確認
     */
    @Test
    public void testIsFile() {
        assertTrue(target.isFile());
    }

    /**
     * ファイルにデータを出力し保存するテストケースです。
     */
    public void testFileCeate() {
        Data data = new Data("名前", "パスワード");
        try {
            target.dataOutput(data);
        } catch(IOException ie) {
            ie.printStackTrace();
            fail();
        }
    }
}

ここでのポイントはファイル出力のテストケースに「@Test」がついていないところです。つまりこのテストケースは実行されません。では動かしてみます。

とりあえずはテスト成功の様です。ここでファイルの存在チェックができたので、次はファイル出力のテスト実装に入ろうと思います、

でわでわ。。。

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