Java はじめて21 〜オブジェクト指向的分析、アプリの拡張をする〜

イントロダクション

今回も、コーダー銀行(コンソールアプリ)の拡張をします。つまりは、機能追加をします。

「オブジェクト指向」という言葉に関して

一時「staticおじさん」という言葉がはやりました、ちょっとわかりずらい言葉であるため、いろんな人が色々な解釈をするので「カオス化した言葉」という認識を持っております。「関数型」に関しても同様なことが言えると思います。※MonoBook参照

混乱を防ぐため「オブジェクト指向」という言葉の定義に関しては下のリンクを参照下さい。

Java オブジェクト指向基礎 ~オブジェクト指向コンセプト~

今までに、以下の内容を実施(記載)してきました。

  1. 作成したアプリの修正
  2. チェック処理クラスの追加

現状の処理としては、コーダー銀行への「入金」と「引き出し」ができるだけであまり役に立たなそうです。
なので、今度はもっと銀行らしく口座の開設機能を作る方向へ向けて機能拡張を考えて見たいと思います。

オブジェクト指向的分析

機能拡張をするときには「どこを拡張するか?」つまり「コードのどの部分をどのように修正するか?」という疑問に答える必要があります。
そこで、今までの作成したものを、確認がてらに見直して「修正ポイント」を探し、拡張するための設計を行いたいと思います。

まずは仕様

「どのようなことを実現するか?」を初めに考える必要があります。そして、今回の場合は「コーダー銀行の口座開設」が実現したいことなので、口座の開設のために必要なことを考えます。

  1. 口座開設している人の情報を保存する仕組みが必要
  2. 口座を持っている人を特定する仕組みが必要
  3. 口座の預金額と口座を持っている人を一意にする仕組みが必要

大まかにこんな感じだと思います。あまり細かいと複雑になりクラス設計がややこしくなるので、今回は学習目的なのでこの程度の仕様にしておきます。

現状の構成を把握

今動いているアプリは下のような感じで動きます。

クラスの構成としては以下の3つがあり、それぞれ「メイン処理」と「預金額管理」、「チェック処理」を担当するクラスになっています。※実際のソースはGitにアップしています。ちなみに、パッケージは下のようになっています。
「jp/zenryoku/apps/atm」

実装ポイント

口座の開設処理を行う前に、現状では「入金」と「引き出し」の機能しかありません。この場合だとコーダー銀行の口座は一人だけで誰でも引き出しができてしまうので安全ではありません(学習ようなので。。。)。1つずつ問題を解消していきますが、まずは口座を開設する機能が必要です。
ユーザー(口座保持者)と口座を結びつける処理などは、後で考えます。

筆者は、1度に複数のことを考えることができません。。。

口座開設処理(余談)

通常の業務アプリ(〜銀行さんとかで使用しているもの)は、ものすごい人数が利用できるように「データベース(DB)」を使用しています。しかし、DBを使用する前に、「ファイル操作」に関して理解する必要があるのでそのように実装いたします。

<ファイルにデータを保存するサンプル>

ファイルに口座情報を保存する

今回作成する「コーダー銀行アプリ」は学習ようなので本物のように個人情報をてんこ盛りにしたような実装はしません。単純に作成するため必要最低限の項目のみを使用します。それは以下に示します。

  1. 名前(ヘボン式のローマ字)
  2. パスワード

そして、今回実装する処理としては。。。

ファイルにデータを登録する処理

この機能を実装するのには、今までのやり方からすると「ファイルにデータを登録する役割」のあるクラスを作成し、そのクラスに処理を実装する、ということになります。

これもオブジェクト指向の基本になります。くどいようですが、「役割分担をちゃんとやりましょう」ということです。

設計を行う

ここまできたら、察しの良い人は「ファイル操作クラスを作るんでしょ?」と思うかもしれません。その通りでございます。

そして、実装する内容は以下のようになります。

  1. ファイル操作クラスを作成(実装)する
  2. ファイル操作クラスを使用する部分を追加(修正)実装する

補足

自分で作成したものは「自分で好きなように改造できる」ので、想像を膨らませて「面白いもの」を作ってみるのも良い学習になります。

まとめ

上記の内容をまとめると以下のようになりました。

仕様
1. 口座開設している人の情報を保存する
2. 口座を持っている人を特定する
3. 口座の預金額と口座を持っている人を一意にする
機能
1. 口座の情報をファイルに保存する
2. 口座の情報は「名前」と「パスワード」とする
3. ファイルには、カンマ区切りの「CSV」形式でデータを登録する

次回は、ここで作成した仕様に基づき実際にコードを作成(実装)してみようと思います。

でわでわ。。。

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<Java関連の動画リスト>

Java はじめて20 〜チェック処理クラスを作る〜

イントロダクション

前回作成したプログラムを改修します。大まかに下の動画のような動きをします。

このプログラムは、githubにアップロードしてあるので、参考にどうぞ。付随するプログラムとしては下のものです。

  • MainBank: 上のリンクと同じものです。メイン処理を行います。
  • Calcuration: 計算処理、貯金金額の管理をおないます。
  • InputChecker: 入力チェックを行います。

上のリンクにあるプログラムは作成済みのものです。

チェック処理クラスの作成

今回も、下のような作成したクラスをカスタムして、入力チェック処理を作成します。
ちなみに前回は、コンストラクタを修正(カスタム)してコーダー銀行ATM(仮装)のアプリを作成しました。

実装内容確認

今回は、コーダー銀行の入力チェック処理を作成してみようと思います。
なんども、同じようなことを記載しますが、オブジェクト指向プログラミングでは「役割分担」が大切です。大雑把に以下のような形(イメージ)で実装します。

  1. 「〜担当のクラス」という役割を割り当てやる
  2. メイン処理で呼び出してやる。

コードで書くと下のような感じです。

A.処理のはじめ「いらっしゃいませ」という挨拶部分。
System.out.println("コーダー銀行へようこそ、入金しますか?引き出しますか?");
System.out.println("あなたの、預金額は ¥" + cal.getYokingaku() + "-です。");
System.out.println("入金の時は「in」、引き出しの時は「out」を、終了する時は「bye」を入力してください。");
B.入力を行う部分
Scanner input = new Scanner(System.in);
while(true) {
    String inStr = input.nextLine();
    if ("in".equals(inStr)) {
        System.out.println("入金処理を行います。");
        cal.nyukin(input, true);
    } else if ("out".equals(inStr)) {
        System.out.println("引出し処理を行います。");
        cal.nyukin(input, false);
    } else if ("bye".equals(inStr)) {
        break;
    } else {
        System.out.println("「in」か「out」を入力してください。");
    }
}
処理の終わり
System.out.println("ATM処理を終了します。ご利用ありがとうございました。");

こんな感じ(イメージ)です。
「なんだ、処理を区分けして説明しただけぢゃねぇか。。。」と思った方、その通りでございます。

処理を区分け」することがはじめの一歩目になります。
改めて、仕様を見て見ます。

  1. アプリを起動してコンソールから「引き出す」「入金」を選択する
  2. それぞれの処理に対して「預金額」から足し算、引き算を行いその結果を表示する

このアプリを作成するために作った「部品」は以下の通りです。

  1. メインメソッドを持ち、入力の受付も行うクラス
  2. 入金、引き出しを行う計算処理クラス

早い話が、以下のようなクラスを作成するということです。

  1. メインの処理を作成する(実装する)クラス
  2. 預金額を管理して、預金額の計算を行うクラス

入力チェック処理

今回のミッションは「入力チェック処理」を作成することです。
なので、「入力処理」を担当するクラスの処理内容を確認します。
上記より、1のメイン処理を作成するクラスがそのクラスになります。

入力処理

ズバリ、Scannerクラスを使用しているところです。
つまり、String inStr = input.nextLine();の部分が入力を受け取っている処理です。
このScannerクラスは、java.utilパッケージにあります。

とにかく入力された値をStringクラスで受け取ります。
そして、入力された値が妥当かチェックしようというわけです。

チェック処理

チェック処理は、以下のようなものを作成しようと思います。

入力チェック1:入金、引き出し、終了の選択をさせる
「in」「out」「bye」の入力以外はエラーにする

そして、入力チェック処理(クラス)を作成したら、ソースの整理をします。

入力チェック処理は、今回の目玉なので処理内容を記載しません。つまりコードは書きません。その代わり、チェック処理を作成した後の整理(リファクタリング)部分について記載します。現在の入力部分は以下のようになっています。※他にもありますが、今回はこの部分を対象とします。

while(true) {
    String inStr = input.nextLine();
    if ("in".equals(inStr)) {
        System.out.println("入金処理を行います。");
        cal.nyukin(input, true);
    } else if ("out".equals(inStr)) {
        System.out.println("引出し処理を行います。");
        cal.nyukin(input, false);
    } else if ("bye".equals(inStr)) {
        break;
    } else {
        System.out.println("「in」か「out」を入力してください。");
    }
}

無限ループする処理の中です。しかし入力チェックと無限ループは関係ありません。(オブジェクト間の依存関係がないということです)ただし、コード上ではループの中で入力チェックを行うので関連性があります。
ちょっとややこし言い方をしましたが、これは以下のようなループ部分
while(true) { ... }
と入力を受ける処理String inStr = input.nextLine();をはっきりと分けて考えるために記載しました。つまりは以下のようにチェック処理を独立させたいということです。

入力チェック処理を担当するクラスを作成し、そのクラスが入力チェックを行うようにする

こうすることで何が変わるか?ということなのですが、これはチェック処理の内容のみを変更したいときにすぐに追加・変更が可能なようにするということです。

チェック処理を独立させる(今回の目玉)

ズバリ、チェッククラスを作成します。名前は「InputChecker」にします。MainBankのループ部分の処理は、以下のような実装にします。

単純に、次の処理を追加しただけです。

  1. 入力チェックを行い、エラーがあればメッセージを返す処理を追加

    String errorMessage = InputChecker.validNyukinHikidashi(inStr);
  2. メッセージ(errorMessage)が、Nullかどうかの判定を追加

最終的に下のようなコードになりました。

while(true) {
    String inStr = input.nextLine();
    String errorMessage = InputChecker.validNyukinHikidashi(inStr);
    // この部分を追加しました。↓
    if (errorMessage != null) {
        System.out.println(errorMessage);
        continue;
    }
    // 追加した部分終了行↑
    if ("in".equals(inStr)) {
        System.out.println("入金処理を行います。");
        cal.nyukin(input, true);
    } else if ("out".equals(inStr)) {
        System.out.println("引出し処理を行います。");
        cal.nyukin(input, false);
    } else if ("bye".equals(inStr)) {
        break;
    }
}

これで、処理中にエラーがあった場合、は上のコードの一部のみを実行するだけで良いので、無駄な処理を行わなくて済みます。つまりは下のコードのみを実行するだけになります。

    String inStr = input.nextLine();
    String errorMessage = InputChecker.validNyukinHikidashi(inStr);

    if (errorMessage != null) {
        System.out.println(errorMessage);
        continue;
    }

もう一つ、入力チェッククラスを新たに作成しているので、チェック処理を追加するときは、InputCheckerクラスの修正をするだけでよくなります。
※どのような実装にするかは、プログラマ側で決めるところです。こういうところが面白い☆

でわでわ。。。

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<Java関連の動画リスト>



Java はじめて19 〜コンストラクタの役割を見る〜

イントロダクション

前回作成したプログラム「コーダー銀行アプリ」を深掘りして、改造することを考えてみます。
この時に重要になるのはクラスの構成を理解しておくことです。

クラスには、以下の要素があります。※各項目に関してはこちらで解説しています。

  • コンストラクタ
  • メソッド
  • フィールド変数

なので、これらを理解すれば、クラスは扱えるということです。そんなに難しくないでしょ?(笑)

プログラムを見る

<作成したプログラム>

コンストラクタの役割

コンストラクタの役割は、クラスを初期化するというところです。具体的には、クラスで持っているフィールド変数を初期化するところがメインになりますが、他にも必要であれば、そのような実装を行います。
まずは、基本的なフィールド変数の初期化を考えてみます。

デフォルトコンストラクタ
処理が何もないコンストラクタのこと、これは、暗黙的に実装されている。
「暗黙的に」というのは、「コードに書いてなくても」という意味

フィールド変数
これは、クラスのインスタンスが存在している間、データを保持しておくことができる変数です。
なので、コンストラクタの処理が走った時に、フィールド変数を初期化してやれば、インスタンスが存在している間
フィールド変数に値が保持されます。
具体的には、下のコードで行くと「yokingaku」という変数がフィールド変数ですが、これに預金額(yokingaku)を設定してやれば、下にあるメインメソッドの処理が終了するまで値が保持されることになります。最後にメモリの解放を行なっているためです。

ただし、Javaにはガベージコレクションという仕組みがあり、わざわざ次のようなコードを書かなくても、メモリの解放を行なってくれます。下ような書き方は明示的なメモリの解放というような言い方をします。

main = null;

ガベージコレクションでのメモリの開放は便利ですが、メモリの解放を行うタイミングは、JVMの都合に依存するので、明示的にメモリを解放した方が、メモリ管理はしやすいです。※必要があればの話ですが。。。

プログラムの内容を見る

では、プログラムを見てみましょう。

<MainBank>

public class MainBank {
    /** 預金額 */
    private int yokingaku;
    /** 処理が何もないものは「デフォルトコンストラクタ」 */
    public MainBank() {
    }

    /** コンストラクタ: 引数あり、フィールドを初期化する */
    public MainBank(int yokingaku) {
        // フィールド変数とコンストラクタの引数名が同じなので区別するためにthisを使う
        this.yokingaku = yokingaku;
    }
}

<メインメソッド>

public static void main(String[] args) {
    // 初期の貯金金額は1000円
    MainBank main = new MainBanik(1000);
    // ATM処理の開始
    main.atm();
    // インスタンスの破棄(メモリの解放)
    main = null;
}

今回は、以前作成したアプリ=「コーダー銀行ATMアプリ」をカスタム(改造)しながら、javaで提供されているAPIの使い方を何個か見てみようと思います。

String

既存のクラスです。「既存」というのはJavaAPIですでに実装済ということです。
主に文字列として使用します。そして、文字列の比較もします。編集、切り出しなどいろいろなメソッドがあるので、一部抜粋して見ます。

  1. equals()メソッド
  2. substring()メソッド
  3. valueOf()メソッド

これらのメソッドはよく使うと思われるので、紹介いたします。
まずは1番から行きます。

String str = "テスト";
if ("テスト".equals(str) {
   System.out.println("テストです。");
}

2番目

String str = "テスト";
String result = str.substring(0, 1);
System.out.println("substring = " + result); // 「テ」と出力される

3番目

int num = 10;
String numStr = String.valueOf(num);
System.out.println(numStr.substring(0,1); // 「1」

3番目は「int型」から「文字列(String)型」へ変換しています。

クラスをカスタム

早速問題を出します。
【問題】
「現在、コンストラクタで預金額を1000に設定しています。
これをコンストラクタに渡した値で預金額を初期化できるように修正するにはどうしたら良いでしょうか?」

ヒント;ソースのダウンロードはこちらからできます

どこを修正すれば良いか?

初めに考えるのは上記の疑問に答えるための答えを考えます。
問題にある「コンストラクタで。。。」という部分に着目します。
そして、コードを見てみると下のようになっています。

/**
 * コンストラクタ
 */
public MainBank() {
    cal = new Calcuration();
}

これでCalcurationクラスを初期化しています。ではコンストラクタの中身は?

public Calcuration() {
    // 預金額は1000円スタート
    yokingaku = 1000;
}

上のようになっています。コンストラクタは引数なしなので、預金額に直接「1000」を代入しています。
ここまで記載すれば、答えは見えてくると思います。

では、次の問題

【問題2】

このアプリにはバグがあります。それを見つけて修正してください。今のところ自分が認識しているのは入力したときにあるバグなのですが、そのほかにもあるかもしれません。
なぜかというと、テストをしていないからです。
本番環境(サーバー)にリリースしようと考えている人は絶対に真似しないようにしてください。テストはちゃんとやりましょう。

この問題の答えは書きません。見つけてみてください。

でわでわ。。。

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Java はじめて18 〜設計後の部品を実装する2〜

イントロダクション

役割分担などのクラスを扱う、プログラム設計をする。ということをやってきたので、今度は実際にプログラムを作成しなが
設計から実装までをやってみたいと思います。

そのため、前書きというか能書きが長くなります。申し訳ない・・・

設計したプログラム

設計したプログラムは「コーダー銀行アプリ」です。単純に標準入力から金額を入力してそれを保持します。
お金を入金すれば、加算され、引き出せば減算されるというようなプログラムです。

このプログラムの実装には、以下のクラスを使用しています。※Githubにソースがあります

クラス図 ※利用していないものもあります。

  • MainBankクラス: メインメソッドがある、プログラムを起動するクラス
  • Calcurationクラス: 細かい計算などを行うためのクラス
  • InputCheckerクラス: 入力値などをチェックするためのクラス

それぞれ上のように役割分担をしました。

MainBankクラスの設計

  • このクラスは、メインメソッドを実行しATMの機能を実装したatm()メソッドを起動する。
  • atmメソッドは、以下の処理を行う
    • ATMの受付表示
    • ATMの終了・入金・引出し操作

Calcurationクラス

  • このクラスは、ATMに貯金されている金額の管理を行う ※預金額は1000円スタート
  • 入金処理と引出し処理を行う

InputCheckerクラス

  • このクラスは、入力した値が適当かどうか判定する

設計後の実装

今回は、部品の設計を行った後の、実装を行います。(設計で)作成したクラスは以下の通りです。

  1. MainBankクラス
  2. Calcurationクラス

設計レベル1

作成するクラスは上記の通りですので、これらをシンプルに実装します。

MainBakクラス

筆者が実装したメインメソッドは、以下になります。

public static void main(String[] args) {
    MainBank main = new MainBank();
    main.atm();
}

2行で終わりました。。。デワデワ。。。

というのは冗談として、最終的なソースはGitにコミットしておきます。(本当はPUSHですが。。。)
mainメソッドで、「ATIMを起動する」という言葉をmain.atm()と実装しています。次は、ATMを起動したら、「ATMの処理内容」を実装します。以下は、その実装例になります。これを参考にオリジナル仕様で作成してください。

  1. 「いらっしゃいませ」などのメッセージを表示する
  2. 入力を促す文言の表示
  3. 入力を受付て「入金」「引出」を選択する
  4. 上記と同様に、「入金」「引出」の処理を実行する
  5. ATMを終了する入力を受けたらプログラム終了

ここまできたら、あとは創意工夫がモノを言うので、ここでは参考程度に、筆者が実装した結果を記載したいと思います。

作成したコード

部品一覧

一覧と言っても、2つのクラスしかないので、大したことはないのですが、簡単に説明だけつけておきます。

MainBankクラス
・メインメソッ: このクラスのatm()メソッドを呼び出します。これだけです。
・フィールド: cal=Calcurationクラス
・コンストラクタ: 引数なしのコンストラクタで、Calcurationクラスのインスタンスを生成する
・atm()メソッド: コンソール表示を行い、入金、引き出しのどちらかの処理を呼び出す。
そして、想定外の入力があった時はエラーメッセージを出力して再度入力を促す
Calcurationクラス
・フィールド: 預金額を保持
・預金額のGetterとSetterを持っている
・入金・引き出し処理メソッド: 第二引数のbooleanで入金か引き出しか判定する。あとは入金なら足し算、引き出しなら引き算を行う。
他のメソッドは細かい入力チェック、計算処理

これらのクラス関係

MainBankクラスはフィールドにCalcurationクラスを持っている。このクラスがアプリケーションのメインを担当する。

これに対して、Calcurationクラスは、入金、引き出し処理の担当を行い。フィールドには預金額を保持するようにしている。入金、引き出しの処理で預金額が加算されたり、減算される。

コンストラクタについて

コンストラクタはクラスのインスタンスを作る(newする)ときに動くメソッドのようなものでクラスの初期化を行う。
そして、引数のあるなしによりコンストラクタは区別される。具体的には下のようなコードです。

public class MainBank {
    MainBank() {
       // コンストラクタA
    }
    MainBank(int yokingaku) {
       // コンストラクタB
    }
}

上の2つのコンストラクタはJVMによって区別されます。つまりは、両方とも定義(コードに書くことができる)ということです。
例えば、メインメソッドでコンストラクタを呼び出したときに処理が走る場所が変わります。サンプルコードをいかに記載しいます。

public static void main(String[] args) {
   // コンストラクタAが起動する
   MainBank main = new MainBank();
   // コンストラクタBが起動する
   MainBank main = new MainBank(1008);
}

このようにコンストラクタを複数作るのは、初期化するパターンを何個か作成したいからです。
もし、「このパターンはいらんな。。。」という場合はこのようにコンストラクタを複数作らなければ良いのです。

そして、上のように「引数あり」と「引数なし」のコンストラクタ(メソッド)を作成することを「オーバーロード」と言いいます。
のちに、「オーバーライド」という言葉も出てくるので混同しないようにしましょう。

とりあえずは、クラスを作った後に、どのようにしようするのか?という部分について記載しました。今後は、作成したクラスにいろいろな使い方ができるように、次を意識しながら実装していきます。

  • コンストラクタでは何をする?
  • インスタンスの数は?
  • 処理の流れはこれでよいか?
  • わかりやすいコードになっているか?

でわでわ。。。

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<Java関連の動画リスト>



Java はじめて17 〜設計後の部品を実装する1〜

イントロダクション

今までに、クラスを作成して、使用するということを学習しました。クラスを作成して使用するというのは、単純に書くクラスに役割を与えてその役割ごとにメインメソッドから必要なクラスを呼び出しプログラムを動かすということです。

具体的には、JavaAPIですでに実装されていますが、文字列を扱うのであれば、Stringクラスがその役割を果たします。
また、独自に作成したクラスがその役割を果たすのであれば、そのクラスを呼び出し、実行してやればそれで目的は果たせるというわけです。

実例としてじゃんけんゲームを考えてみます。

クラスの作り方

<その1>

<その2>

じゃんけんゲームの場合

じゃんけんゲームと言っても、コンソールアプリを実装(作成)するとします。
必要な処理としては、以下のようになります。

  1. じゃんけんの手を入力する。(プレーヤーの手を入力)
  2. CPUの手を取得する
  3. プレーヤーとCPUの勝敗判定を行う
  4. 結果を表示する

※下の動画の場合は、じゃんけんの手を示すヘルプを下のように表示しています。

**************
グー  *   0 *
チョキ*   1 *
パー  *   2 *
**************

役割分担

ここで、役割分担のことを考えてみます。※あくまでも、筆者の考えたものです
上のような処理を行うのであれば、役割として次のような分担を行うことができます。

  • プログラムを実行する役割(メインメソッドのあるクラス)
  • CPUの手を取得したり、勝敗判定を行う役割(Utilityを提供するクラス)

そうすると、次のように2つのクラスを作成することができます。

  • JankenMain: じゃんけんゲームを起動するクラス(メインメソッドのあるクラス)
  • JankenUtil: じゃんけんゲームのユーティリティー(細かい機能)を提供するクラス

実装例

メインメソッドのみの実装でいくと下のような実装イメージです。

public static void main(String[] args) {
    // ユーティリティークラス
    JankenUtil util = new JankenUtil();
    // 標準入力(コンソールからの入力)
    Scanner scan = new Scanner(System.in);
    // ユーザー入力
    String input = scan.nextLine();
    // CPUの手
    String cpuTe = util.getCpuTe();

    if (util.judge(input, cpuTe)) {
        System.out.println("WIN");
    } else {
        System.out.println("LOOSE");
    }
}

フローチャートにすると下のようになります。プログラム的なプロセスと人間的なプロセスがあります。
プログラム的なプロセスに関しては、学習すればすぐにわかることなのでよいのですが、
人間的なプロセスに関しては、ほぼ無限大にパターンがあるので、頭をひねる必要があります。

設計後の部品

今回は、役割分担を行なった後にクラス(部品)をどのように組み合わせてアプリを作成するか?について記載したいと思います。
作成するのは、子供銀行とでも言いましょうか?お金の入金、引き出しができるなんちゃってATMアプリを作成したいと思います。
【補足】
アプリの規模がとても小さく、処理内容も少ないのでちゃんとした「設計書」の類は作成しません。

<ユースケース>
【前提】
コンソール画面のATMとします。
ユーザー認証は行いません。
単純に金額を入金、引き出しができるものを作ります。

【仕様】
アプリを起動してコンソールから「引き出す」「入金」を選択する
それぞれの処理に対して「預金額」から足し算、引き算を行いその結果を表示する

<クラス図>

<部品候補>

  1. メインメソッドを持ち、入力の受付も行うクラス
  2. 入金、引き出しを行う計算処理クラス

部品を作る

<部品候補>からクラスを2つ作成します。クラス名はアルファベットで作成する必要がある(全角の文字でも作成できますが、なんとなく嫌なので。。。)

  1. MainBankクラス(メインメソッドを持つ)
  2. Calcurationクラス(引出し、入金を管理する)

上のように名前をつけます。このように「役割分担」をしてやれば、いざ修正するときにどちらかのクラスの一部を修正してやれば、デグレート(修正したらおかしな事になる)する事もないように作ることができます。

ここのポイントとしては、書く処理の依存度をなるべく低くしてやることです。依存度が高いと下のようなコードになります。

public static void main(String[] args) {
   MainBank main = new MainBank();
   Scanner input = new Scanner(System.in);
   String inStr = input.nextLine();
   if ("in".equals(inStr)) {
       // 入金処理を行う
   }
      ・
      ・
      ・
}

入力を受けたあとに入金処理を同じクラスの中に書き始めると、結局のところは全部の処理をMainBankクラスに書くことになります。
ソースを読む時は全部読まないといけないし、修正するときも、あちこち直さなくてはいけません。。。
残業パラダイス必至のコードです。平和のためにこのような作成方法はやめましょう。。。

依存度を下げるために

クラスを複数作成し、役割分担をしてやります。
今回のコンソールアプリを作るのには以下のような2つの処理が必要と筆者は考えました。

自分で考えて「このように役割分担をする」という風に考える練習をすることが大切です。上記は筆者が考えたものですので、参考程度にしてください。

  1. コーダー銀行の受付(入金、引出し)を行う(判定)する処理
  2. 入金処理、引出し処理のそれぞれを行う。

ポイント

  1. 受付部分は共通なので、MainBankで行う
  2. 入金処理、引出し処理は独立させることができるので分割する

そんなわけで

  1. MainBankクラス
  2. Calcurationクラス

上記のクラスを作成することにしました。

MainBankクラス

アプリケーションの起動とコーダー銀行の受付処理を行います。
処理の詳細に関しては、以下の通りになります。

  1. コーダー銀行の受付文言をコンソールに表示
  2. デフォルトの預金金額¥1000-を表示する
  3. 入金(in)、引出し(out)の判定を行い、処理終了する時は「bye」の入力で処理を終了する
  4. そのほかの入力はエラーメッセージを表示してサイド入力を促す表示を行う

Calcurationクラス

入金、引出し処理を担当するクラスです。このクラスには預金額を管理するためのフィールド変数が必要になります。
そして、入金処理、引出し処理では以下のような処理が必要になります。

  1. 入金・引出し処理を行う旨を表示する。
  2. それぞれの処理を行った後の預金額を表示する。
  3. 受付〜各処理への状態が変化していることをプログラム的に区別する必要がある。

上の3番に関して、「プログラム的に〜」と記載している部分は「状態」を管理することにより処理クラスを変更、管理しやすいのです。この設計手法に関してはGOFのデザインパターンなどを読んでみるととても参考になります。
良いデザイン(設計)をできるようになると、色々と楽ができます。そして、仲間内で「あーだこーだ」と議論するのも楽しいと思います。

でわでわ。。。

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<Java関連の動画リスト>