イントロダクション
前回の学習を踏まえて、抽象クラス、インターフェースを使用して簡単なプログラムを作成してみようと考えています。
頭で理解しても、実践が伴わなければものになりません。
前回の学習ポイント
継承関係を作り、下の図のようなクラス関係を作成しました。
そして、RpgCharacterクラスは、抽象クラスです。
以下のような手順で作成しました。
!. 通常のlクラスを作成する(RpgCharacter)
- 必要なプロパティ(属性を追加する)
- それぞれのGeter&Setterを作成
- このクラスを継承するすべてのクラスに共通するであろうメソッドを作成
/** にげる */ public void escape() { System.out.println(this.name + "は逃げ出した"); }
- 実装する各クラスによって別の処理をさせたいので、抽象メソッドを作成
/** 抽象メソッド「たたかう」 */ public void attack(Monster monst);
- RpgCharacterクラスを継承して、Wizardクラスなどのクラスを作成する
このように、クラス関係を作ると、RpgCharacterクラスを継承したクラスを全てRpgCharacterクラス型の変数で各クラスオブジェクトを使用することができる。
<RpgCharacterクラス型の変数でいろんなクラスを使う>
public static void main(String[] args) {
RpgCharacter[] party = new RpgCharacter[2];
party[0] = new RpgHero("太郎");
party[1] = new RpgWizard("二郎");
System.out.println("こんにちは、良いパーティですね。");
for (int i = 0; i < party.length; i++) {
System.out.println(party[i].getName() + "さん");
}
}
ポリモーフィズムの実装
前回学習したものを実装して、「動くもの」を作成しようというところです。
実装する手順を考える
実装するのには、それなりの時間がかかりますが、やってみることの意義はすごく大きいです。
今回は、キャラクターを作成する処理から実装していこうと考えています。
<作成するものVersion1>
- 勇者とモンスターが1回ずつ攻撃する
- それぞれの攻撃に対して、各キャラクターのHPを減算する
メインメソッドの実装
ここでは、プログラムをイチから作成する方向で、話を進めていきます。
作成したプログラムは下のような実行結果が得られるように、実装します。
まずは、プログラムを実行するためのクラス(BattleSample.java)を作成します。エラーが出る部分はコメントアウトします。
つまるところは、どのような処理を呼び出したいかを実装します。ちなみにコメントのみでも良いです。
バージョン1の実装
<BattleSample.java-バージョン1>
public static void main(String[] args) {
//勇者クラスの生成
RpgHero hero = new RpgHero("勇者");
// モンスタークラスの生成
Slime slime = new Slime("スライムA");
// 勇者の攻撃
hero.attack(slime);
// モンスターの攻撃
slime.attack(hero);
}
このように、勇者クラスと、スライムクラスをインスタンス化してそれぞれのメソッド(コマンド)を呼び出してやるだけのシンプルな実装です。
これで、勇者とスライムの攻防がコンソール(標準出力)へ出力されます。
問題は、RpgHeroクラスとSlimeクラスができていないという部分です(前回の実装を行った人は作成済みです)
RpgHeroクラスを作る
このクラスは、下の図にあるように、RpgCharacterクラスを継承した形で、実装します。
なので、先にRpgCharacterクラスを作成する必要がありますので、こちらのクラスの製造に着手します。
RpgCharacterクラスの製造
このクラスは、湯者だけではなく魔法使いや、盗賊、戦士などのプレーヤー側のキャラクターに共通する部分を実装する
想定で、設計しました。
なので、下のように共通するもの(属性・振る舞い)を実装します。
つまり、現状では、通常のクラスになります。
public class RpgCharacter {
/** 名前 */
protected String name;
/** HP */
protected int hp;
/** MP */
protected int mp;
/** 性別 */
protected int sex;
/** 年齢 */
protected int age;
/** 誕生日 */
protected String birthDay;
・
・
・
}
上の状態では、属性(フィールド変数)を定義した状態です。
このほかに追加したいものもあるので、一度内容を確認します。
<RpgCharacterクラスの設計1>
- 属性、名前を持っている
- 属性、MPを持っている
- 属性、年齢を持っている
- 属性、性別を持っている
- 属性、誕生日を持っている
個の状態では、共通するプロパティ(属性)のみが定義されています。ほかにも考えれば出てきそうですが。。。
そして、共通するコマンド(メソッド)を定義します。
<RpgCharacterクラスの設計2>
- 属性、名前を持っている
- 属性、MPを持っている
- 属性、年齢を持っている
- 属性、性別を持っている
- 属性、誕生日を持っている
- 振る舞い、にげるを持っている
作成した設計を元に、そのクラスを実装します。
<RpgCharacter>バージョン1
public class RpgCharacter {
/** 名前 */
protected String name;
/** HP */
protected int hp;
/** MP */
protected int mp;
/** 性別 */
protected int sex;
/** 年齢 */
protected int age;
/** 誕生日 */
protected String birthDay;
/** にげる */
public void escape() {
System.out.println(this.name + "は逃げ出した");
}
フィールド変数には、本来「private」修飾氏をつけるのですが、今回は、子クラスを作成するための親クラスとして作成しているので、「protected」をつけて、継承関係のあるクラスであれば参照可能な形にしています。
そして、Getter, Setterは省略していますので、それぞれのメソッドが実装されているていで話を進めます。
この状態では、「たたかう」メソッドを強制的に継承する子クラスに実装させることができないので、下のような、抽象メソッドを追加します。
/** たたかう */
public abstract void attack(RpgCharacter character);
このようにすると、「抽象メソッドは抽象クラス、インターフェースでないともていない」ので、RpgCharacterクラスを通常のクラスから「抽象クラス」に変更します。
public abstract class RpgCharacter {
/** 名前 */
protected String name;
/** HP */
protected int hp;
/** MP */
protected int mp;
/** 攻撃力 */
protected int attackPower;
/** 防御力 */
protected int diffencePower;
/** 性別 */
protected int sex;
/** 年齢 */
protected int age;
/** 誕生日 */
protected String birthDay;
/** 使用できるコマンドのメニューを開く */
public abstract void showMenu();
/** たたかう */
public abstract void attack(RpgCharacter character);
/** にげる */
public void escape() {
System.out.println(this.name + "は逃げ出した");
}
そして、このクラスをインスタンス化するとき(newするとき)にデフォルトの値を設定するための
コンストラクタを定義(実装)します。引数に名前だけを与えた場合「コンストラクタ1」と、引数にすべてのプロパティ(属性)を与えた場合「コンストラクタ2」を定義しました。
/** コンストラクタ1 */
public RpgCharacter(String name) {
this.name = name;
this.hp = 10;
this.mp = 0;
}
/** コンストラクタ2 */
public RpgCharacter(String name, int sex, int age, String birthDay) {
this.name = name;
this.sex = sex;
this.age = age;
this.birthDay = birthDay;
}
RpgHeroを作る
ここでRpgHeroクラスの製造に戻ります。
ここまできたら、シンプルにRpgCharacterクラスを継承したRpgHeroクラスを作成するだけです。抽象メソッドのオーバーライドがありますが。。。
public class RpgHero extends RpgCharacter {
/** コンストラクタ */
public RpgHero(String name) {
super(name);
}
/** コンストラクタ */
public RpgHero(String name, int sex, int age, String birthDay) {
super(name, sex, age, birthDay);
}
@Override
public void attack(RpgCharacter monst) {
System.out.println(this.name + "の攻撃");
int damage = getAttackPower() - monst.getDiffencePower();
System.out.println(monst.getName() + "へ" + damage + "のダメージ");
monst.setHp(monst.getHp() - damage);
}
}
継承したクラス(子クラス)から親クラスのコンストラクタ、メソッド、フィールドを呼び出したい場合は「super」をつけてやります。
同様に自分のクラス(子クラス)で保持するもの(コンストラクタ、メソッド、フィールド)を呼び出したい場合は「this」をつけてやります。
そして「@Override」というアノテーションがついているメソッドは、抽象メソッドを「オーバーライド」していることを明示的に示しています。
これと同様に、MonsterクラスとSlimeクラスも作成してしまいましょう。
Monsterクラスの製造
public class Monster extends RpgCharacter {
/**
* @param name
*/
public Monster(String name) {
super(name);
}
@Override
public void attack(RpgCharacter player) {
System.out.println(this.name + "の攻撃");
int damage = getAttackPower() - player.getDiffencePower();
System.out.println(player.getName() + "へ" + damage + "のダメージ");
player.setHp(player.getHp() - damage);
}
}
必要な属性(フィールド)はRpgCharacterクラスで持っているので、このクラスに特有な部分のみを実装します。
そして、コンストラクタに関しては、細かい情報(性別、年齢など)は必要な時にsetAge()などのメソッドで設定すれば良いので明示できに書きません。
その代わり、RpgCharacterクラスの、初期値としては「不明」「-1」などの値を設定するようにします。
int型は、参照型のようなnullという値が使えないので、-1で代用します。
つまりは、「年齢が『-1』だった場合『年齢不詳』という意味にする」というルールを追加してやれば、この問題は解決出るのでそのようにしたというところです。
スライムクラス
public class Slime extends Monster {
/**
* @param name
*/
public Slime(String name) {
super(name);
}
}
このクラスに至っては、コンストラクタのみの実装で事足ります。
<<<前回
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