イントロダクション
前回は、ポリモーフィズムの実装を行いました。
これは、クラスの継承関係を作り、クラスの型をうまく変換して多様な使い方を行うというものでした。
例えば、下のような使い方をしました。
勇者率いるパーティを表現
public static void main(String[] args) {
Character[] party = new Character[2];
party[0] = new Hero("太郎");
party[1] = new Wizard("二郎");
System.out.println("こんにちは、良いパーティですね。");
for (int i = 0; i < party.length; i++) {
// ここの処理を変更する必要がある
System.out.println(party[i].getName() + "さん");
}
}
この実装は、下の図のように、クラスの継承関係作り、Hero, Wizardのクラスを1つのデータ型( クラス型)として使用しています。
Javaプログラムは「型」を重視するので、データ型は厳密です。これがはっきりしていないと、デバックするときに変数の中身のデータ型を確認するためにコードを追いかけなくてはいけません。。。
しかし、このような形でクラスの継承関係を作ると、いろんな組み合わせが可能になります。
このような実装のことを「ポリモーフィズム」と言いました。
<抽象クラスを使った例>
Calendarクラスはインスタンスを取得するときに「カレンダ・フィールドは現在の日付と時間に初期化」されるため。
「getInstance()」でインスタンスを取得する。
<インタフェースを使用したポリモーフィズムの例>
例外処理
何かと倦厭されがちな「例外処理」ですが、上のポリモーフィズムの実装は単純なので例外処理がなくても問題ありませんが、これに対して、複雑な組み合わせを行った時、例外処理がないととても不便なのです。
==エラーの種類==
- 文法エラー
- 実行時エラー
- 論理エラー(仮にこう呼ぶ):処理の結果が想定通りでない。
そして、上のようなエラーがあったときにそれぞれの例外を投げます。これは、プログラムの文法で「Throw」という文言を使用するためです。日本語では「投げる」です。
例えば、例外の処理は以下の系統に分けることができます。
- Error: 通常のアプリケーションであればキャッチすべきではない重大な問題
- Exception: 通常のアプリケーションでキャッチされる可能性のある状態、クラスExceptionと、そのサブクラスのうちでRuntimeExceptionのサブクラスでないものがすべて、チェック例外になります。
- RuntimeException: Java仮想マシンの通常の処理でスローすることができる各種の例外のスーパー・クラスです。
エラーがどこで起きたか分からない
稀に、例外が出てもエラーメッセージを見ない人がいますが、ちゃんと見ましょう。「どこでエラーが出ているのか?」はこの例外処理の結果を見ればわかるはずです。
そのように作れば良いのです。
File入出力
例外処理の代表的なものは「ファイル入出力」です。このファイル操作の処理を実装するときに必ず「IOException」が出てきます。ただし、ラップしているような処理は見えてきませんが。。。ちなみに「ラップする」というのは次のように処理をメソッドやクラスで包んでしまうことです。
<ラップしない場合>
/** ラップされるメソッド */ public void rap(String fileName) throws Exception { File file = new File(fileName); BufferedWriter writer = new BufferedWriter(new FileWriter(file)); writer.write("aaa"); writer.close(); } /** 実行するメソッド */ public void execute() { try { rap("./test.txt"); } catch (Exception e) { e.printStackTrace(); System.exit(-1); } }
<ラップする場合:rapped()がrap()をラップしている>
/** ラップされるメソッド */ public void rap(String fileName) throws Exception { File file = new File(fileName); BufferedWriter writer = new BufferedWriter(new FileWriter(file)); writer.write("aaa"); writer.close(); } /** ラップするメソッド */ public void rapped(String fileName) { try { rap(fileName); } catch (Exception e) { e.printStackTrace(); System.exit(-1); } } /** 実行するメソッド */ public void execute() { rapped(); }
rap()メソッドをラップすることで「try~catch」で囲まなくてもよくなりました。欠点としてはエラーハンドリングができなくなったことです。
File入出力(File IO)
そんなわけで、File入出力の実装をして見ましょう。
File出力(Writerで書き込み)
File入力(Readerで読込)
プロパティファイルを読む
<プロパティファイルを読み込む(全部)>※File入力の処理です。
ここの処理では、Readerを使用せず、Propertiesクラスの「load()」メソッドでファイルを読み込んでくれるのでこれを使用します。
プロパティファイルの読み込み
コード
private void loadProperties(String fileName) {
Properties prop = new Properties();
try {
Path path = Paths.get("resources", fileName);
if (isDebug) System.out.println("Path: " + path.getParent().toString() + "\\" + fileName);
BufferedReader buf = Files.newBufferedReader(path);
prop.load(buf);
} catch (IOException ie) {
System.out.println(fileName + "の読み込み時にエラーがありました。");
ie.printStackTrace();
System.exit(-1);
}
if (isDebug) System.out.println("propLength: " + prop.size());
prop.keySet().stream().forEach(key-> {
// key = 実行クラスの番号
String className = prop.getProperty(key.toString());
try {
Class<CommandIF> klass = (Class<CommandIF>) Class.forName(className);
clsMap.put(key.toString(), klass);
} catch (Exception e) {
e.printStackTrace();
System.exit(-1);
}
});
if (clsMap.size() == 0) {
System.out.println("プロパティファイルにクラスが登録されていません。");
System.exit(-1);
}
}
この処理で、プロパティファイルに書いてある、キーから完全クラス名を取得し、クラス・オブジェクトを取得、Mapインターフェースに登録しています。
細かく見ていきますので、ご安心ください
ファイルの読み込み
ファイルの読み込み処理の部分です。以下に抜粋します。
Properties prop = new Properties();
try {
Path path = Paths.get("resources", fileName);
if (isDebug) System.out.println("Path: " + path.getParent().toString() + "\\" + fileName);
BufferedReader buf = Files.newBufferedReader(path);
prop.load(buf);
} catch (IOException ie) {
System.out.println(fileName + "の読み込み時にエラーがありました。");
ie.printStackTrace();
System.exit(-1);
}
この部分はfileNameに文字列で「ファイル名」が入っている想定です。
想定というのは、そのようにメソッドを使ってもらう前提ということです。
そして、上から順に、
Properties prop = new Properties();
ここで、プロパティクラスをインスタンス化しています。
Path path = Paths.get("resources", fileName);
この行では、resourceフォルダ内にある「fileName」のパスを取得しています。*ファイルがないときはnullが返ります。
下の処理はデバック用の処理です。取得したパスを文字列で表示しています。
if (isDebug) System.out.println("Path: " + path.getParent().toString() + "\\" + fileName);
そして、ファイルを読み込むためのクラスを取得(インスタンス化)します。
BufferedReader buf = Files.newBufferedReader(path);
最後に、Propetiesクラスで、取得したファイルリーダー(クラス)からプロパティファイルをロードします。
お気付きの方がいるかもしれませんが、ここで読み込もうとしているのは、プロパティファイルです。
ここまでが、処理の説明になります。
例外処理について
例外処理に関しては、
で囲まれた、処理を書きます。try { ... } catch (例外クラス) { ... }
具体的には、このように書きます。
try {
Path path = Paths.get("resources", fileName);
if (isDebug) System.out.println("Path: " + path.getParent().toString() + "\\" + fileName);
BufferedReader buf = Files.newBufferedReader(path);
prop.load(buf);
} catch (IOException ie) {
System.out.println(fileName + "の読み込み時にエラーがありました。");
ie.printStackTrace();
// プログラムの強制終了
System.exit(-1);
}
このように、ファイルを読み込もうとしたときに、例外が発生する可能性があるので、下のコードはThrows文が書かれています。
<使用している部分>
BufferedReader buf = Files.newBufferedReader(path);
<呼び出しているメソッドの定義>
BufferedReader java.nio.file.Files.newBufferedReader(Path path) throws IOException
なので、throwをキャッチする処理を書かなくてはなりません。
このように、例外が発生する可能性があるのであれば、「throws」文を使い例外が発生する可能性があることを呼び出した側のメソッドに通知する必要があります。
逆にメソッドの内部で揉み消してしまうならば、下のようにtry-catchで処理をしてしまえば良いのです。
try {
// 何かしらの処理
} catch (IOException ie) {
System.out.println("エラーがありました。");
ie.printStackTrace();
// プログラムの強制終了
System.exit(-1);
}
実際に作ってみる
まずは、サンプルコードを見てください。実行確認済みです。
public static void main(String[] args) {
Path path = Paths.get("resources", "mains.properties");
try {
BufferedReader read = Files.newBufferedReader(path);
String line = null;
while((line = read.readLine()) != null) {
System.out.println(line);
}
} catch (IOException ie) {
ie.printStackTrace();
System.exit(-1);
}
}
メインメソッドで、ファイル読み込みの処理を行ったものです。
<処理内容>
- resourceフォルダ(ビルドパスが通っている)にある「mains.properties」のパスを取得します。
- ファイル読み込みクラス、BufferedReaderを作成(インスタンス化)します。
- ファイルの内容を1行ずつ、読み込み、読み込み行がないならばnullが返ってくるので処理を終了します。
ファイルの内容を標準出力に出力している
このような形で、例外処理を行いますが、これを別なkたちで使用することもあります。
チェック時の例外を投げる
<入力チェックの例外>
【前提】
・CheckerUtils#fixStr()は以下のように定義している
public static boolean fixStr(String str) throws Exception {
if (str == null) {
throw new Exception("strはnullにできません");
}
System.out.println(str);
}
<呼び出し元>
public static void main(String[] arg) {
try {
ChecherUtis.fixStr("aaaa");
} catch (Exception e) {
e.printStackTrace();
Systme.exit(-1);
}
}
このようにすると、例外に「strはnullにできません」と表示することができます。
さらに、Exceptionクラスを拡張して、下のように、自前の例外を作成することも可能です。
public class HeroExceptiion extends Exception {
public HeroExceptiion(String message) {
super(message);
}
}
結局のところは、例外クラスの名前が変わるだけなのですが、この例外が出るところは決まってくるので。デバック時も問題になりません。
結構便利です。
今回はこんなところで。。。
でわでわ。。。
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